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一家の財産を受け継ぐことが、裕福な家庭の子供に弊害を及ぼす場合がある。それを理由に、遺産を子供に相続させることを考え直す富豪が増加している。

最高の教育、ぜいたくな休暇、素晴らしい住宅──幼いころから、欲しいと思うもの全てが手に入る生活、お金は有り余るほどあり、必ずしも働く必要はないと言われる生活を想像してみてほしい。

夢のような話だと思う人もいるだろう。だが、こうした状況には大抵、副作用がある。富が子供たちのやる気を奪うのだ。資産運用の専門家らによれば、幼いころから与えられているお金が多ければ多いほど、子供たちは情熱や意欲を持たなくなる。

英資産運用会社ストーンヘンジ・フレミングのシニア・アソシエイトによると、顧客の子供たちの中には、「なぜ大学に行くのか、行くことに何の意味があるのか?自分がすることには誰も感心しない。起業家精神にあふれた両親に決められた人生だから」という人もいる。

こうした「権利を奪われた」子供たちと話し、彼らが目的やビジョンを持てるように支援することも、アソシエイトの仕事のうちだという。

英コンサルティング会社AHローダー・アドバイザーズのサンディ・ローダーは、「こういった問題のほとんどは、両親が原因だ」と考えている。大抵の場合は、小さいころに愛情を注いでもらえなかったことが理由だ。

だが、「あり余るほどのお金やドラッグはあるが、仕事に就けというプレッシャーはない」など、ただ甘やかされて育ったという場合もある。

考えを変える富豪たち

子供たちが直面するこうした問題を受け、相続について初めから考え直す富豪が増えている。英国のビリオネア(保有資産10億ドル以上)の一人、ジョン・コードウェルは3月、自身が保有する資産の70%について、相続人を子供たちではなく慈善団体とすることを発表した。

富豪たちの間では以前から、すでにこうした動きが見られている。

フェイスブックの最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグと妻のプリシラ・チャンは、保有するフェイスブック株の99%を「次世代の全ての子供たちのため、人間の可能性を広げ、平等を促進するために」寄付することを明らかにしている。

夫妻はいずれも、世界中の富豪とその家族が存命中または死後に総資産の半分以上を慈善事業に寄付することを誓う「ギビング・プレッジ」に参加している。

また、香港の不動産会社、中原集団の施永青(Wing-Ching Shih)会長は保有していた同族経営の自社の株式45%を全て、慈善団体に寄付した。「それは受け入れている」という息子で副会長の施俊峵(Alex Shih、30)はブルームバーグの取材に対して先ごろ、次のように語った。

「父がそうすることは、幼いころから聞かされていた。私たちに選択権はなかった。父は、一気に快適すぎる生活を送れるようにはならない方がいい。少しずつ手に入れていったものの方が、大切にするようになると言っていた」

自らの持つ富を子供ではなく、慈善団体に残すのは、ビリオネアたちだけではない。

英資産運用会社カナダ・ライフ・インベストメンツが今年行った調査によると、45歳以上の同国のミリオネア(保有資産100万ドル以上)のうち5人に1人は、自身の相続人には何も残さない考えだという。

調査対象とした1000人のうち半分近くが、資産は「自分が生きているうちに使う」と回答。9%が、「慈善団体に残す」と答えた。

編集=木内涼子

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