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近親者間暴力は、全ての社会経済階層に影響を与えている。しかし、コミュニティーの健康改善に取り組む非営利組織(NPO)プリベンション・インスティテュート(Prevention Institute)によると、リスク要素は多面的だ。それにより、ケアや調査へのリソースは非常に限定されアクセスもしづらい。またDVは閉鎖的な空間で起きるため、他者の家で起きることへの関与をためらう人が多い。

女性の脳損傷問題に取り組むNPO、ピンク・コンカッションズ(PINK Concussions)の創業者で常任理事のキャサリン・スネデカーは「脳損傷が現代の『目に見えない病気』なら、女性はこれまで見えない患者だった」と述べた。

「私たちは過去5年、女性スポーツ選手や退役軍人が抱える脳損傷問題への意識を向上させてきた。しかし、近親者間暴力に苦しむ目に見えない女性たちは、全ての社会経済グループにおいてそれよりもはるかに多くの脳損傷を繰り返し、問題は隠れたままだ」(スネデカー)

スネデカーの主張はデータからも証明されている。トロント大学後天的脳損傷研究所のハリナ・ハーグは「仮に一部が大げさに推定されていて、近親者間暴力を経験した女性の50%しか外傷性脳損傷を経験しないとしても、その数は8人に1人で乳がんと同じ値だ。それにもかかわらず、この分野での既存の知識や研究は非常に少ない」と述べている。

希望の兆し

反復的な近親者間暴力と外傷性脳損傷がもたらす悪影響に関する研究は非常に少ないが、研究者の数は世界中で増えている。また一般人の間では、原因がスポーツか戦闘かにかかわらず、目に見えない損傷は深刻で危険だという意識が高まっている。次のステップは、近親者間暴力に関連した外傷性脳損傷を克服した女性に対しても同様の認識を普及させることだ。

心の健康に関連した取り組みが増えるにつれ、近親者間暴力に対するスティグマや不名誉との闘いも、全ての宗教・人種・社会経済階層のコミュニティーの中で少しずつ進展している。こうした取り組みには、コミュニティー労働者や救護施設の従業員、医療従事者を訓練して外傷性脳損傷の兆候を早期に認識することに加え、トラウマと関係がある認知問題や振る舞いを見せる女性に対しては外傷性脳損傷の兆候を探すことが含まれる。

バレラ博士は、警察や裁判官を教育することで、女性やその子どもの生活に大きな変化がもたらされるのではないかと期待している。

「初期対応者と司法職員が近親者間暴力に関連した外傷性脳損傷について尋ね、認識できるようにすれば、女性の振る舞いは閉鎖された空間で外傷性脳損傷が生じたことによるものと解釈され、単に『普通ではない』『非協力的』と思われないかもしれない。こう解釈されることで、女性は適切なケアと法的判断を受けることができるだろう」(バレラ)

翻訳・編集=出田静

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