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ランキング8位の消費財関連の巨大企業であるプロクター・アンド・ギャンブルは、プラスチックゴミの世界最大の発生者のひとつだが、ダンボール素材を増やしてプラスチックを減らした洗濯洗剤の新しい容器や再生プラスチックから作ったシャンプーのボトルなど変化を進めている。単なるPRのように見られがちだが、自分たちも環境への関心を持っていることを消費者に示したい小売業者が、目立つ場所に陳列しており、売り上げが伸びる可能性が高い。

同社のデビッド・テイラーCEOは、環境を意識した製品に対して「法律の遵守という水準を超えるようにします。消費者と消費者が解決したい問題が出発点になります」と話す。

その象徴とも言えるのが、年間売り上げが80億ドルを超える、パンパースの最近の新製品だ。綿を入れて化学薬品を減らしているため、旧モデルよりも25%高い。しかし、ジョン・レジェンドが出演したCM効果もあり、同分野の売り上げナンバー1となっている。

新しい規制当局「アダム・スミス」

企業の黄金時代は、第二次世界大戦後と言われてきた。当時は所得格差が縮小し、多くの米国人が大企業を高く評価した。戦後の活気ある経済の中で利益が上昇し、企業が社員、経営陣、株主、顧客といったステークホルダーを結束させるあらゆる施策をとり、社会的使命を共有する感覚があった。

「政府と産業界は、戦争に勝つことに集中しており、そのため多くの協力がなされ、それが戦後に持ち越された」と、ミシガン大学名誉教授のマリーナ・フォン・ノイマン・ホイットマンは話す。

しかし、その後、自由主義を重視した経済学者ミルトン・フリードマンによる「企業の唯一の社会的責任は利益を増加させることである」が絶対の真理となり、顧客や社員は投資家の要求の後回しにされた。工場閉鎖や社員解雇、退職後の医療給付削減が遅れたCEOは、ヘッジファンドや「アクティビスト(物言う株主)」投資家の標的にされ、短期的利益や株価上昇のための変化を強制された。

ロバート・サミュエルソンにより1993年に書かれた有名なレポート「良き企業、ここに眠る(R.I.P.:The Good Corporation)」で、「米国人は、企業が利益獲得と社会的責任を融合できると考えていたが、その前提は間違っていた」と結論づけた。

しかし、本当にそうだったのか──その答えは「ノー」だ。

「優れた企業は、同業他社と比べて、社員の労働環境や自然環境に対するリスクをしっかりと管理している。当然のこととしてやらなければいけないですから」。ブラウン・アドバイザリーのポートフォリオ・マネジャーであるカリナ・ファンクは話す。彼女は、18億ドルの大型株対象の「サステイナブル・グロース・ファンド」を運営し、マイクロソフト株の保有が最大になっている。

ウォール街がこれまで、良き企業という概念の破壊に大きな役割を果たしたことを考えると、現在、企業に対してこうした圧力をかけているのは注目すべきだ。ウォール街が重視する「市場価値」に、社員、顧客、公益性が強く結びついているのだ。

文=マギー・マクグラス、アレックス・コンラッド 翻訳=木村小太郎/アシーマ

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