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「企業が正当な賃金を支払っているか」という質問事項について、米国人の84%は「支払うべき」だと回答している。にもかかわらず、米国連邦法の最低賃金はわずか7.25ドル。09年以降、引き上げられておらず、週40時間働いても、配偶者と子どもがいれば、貧困ラインを下回る。

こうした人々の企業への期待は、「どの企業から商品・サービスを購入するか」だけでなく、労働力不足の環境下では「どの企業で働きたいか」にも影響を及ぼしている。

53位のディスカウントストア大手ターゲットは、最低賃金を10ドルから上げはじめ(現在は12ドル)、20年末までに15ドルまで引き上げると公約した。同社はトップニュースで取り上げられ、「応募者の増加という形で成果が表れた」(同社最高人事責任者ステファニー・ランドクイスト)。30位のアマゾンも18年11月、年間雇用25万人と季節雇用10万人の最低賃金を直ちに15ドルに引き上げ、大喝采を浴びた。

米国人は、労働者の福利厚生も同様に重視している。ピュー研究所によると、82%が有給の産休があるべきだと考えている。他の先進国とは異なり、米国が、有給の産休、有給休暇、病気休暇を義務付けていないが、多くの企業は自ら導入している。

従業員待遇部門で1位になった半導体メーカー「エヌビディア」は、出産した女性社員が22週間の有給休暇を取得できる制度を導入し、全社員にも1カ月6時間利用できるコンシェルジュ・サービスを提供している。ランキング9位のアドビも、排卵誘発剤の投与などの不妊治療に対して2万ドル、代理出産費用や養子縁組費用に2万5000ドルまでの補助、年間100時間までの保育費用を支援している。

賃金の平等についても、優良企業は自己規制している。ランキング100社のうち、69社で賃金平等調査を行っている。ランキング29位のセールスフォース・ドットコムでは、性別、人種、国籍にかかわらず、「同一労働・同一賃金か」を毎年調査をしている。3回目である18年調査では社員6%が十分な賃金を支払われていないと判明したが、17年の11%からは減少している。同社の最高人事責任者であるシンディ・ロビンスは「調査するたび、賃金の不平等についての数多くの要因を知ることになる。すべての是正に積極的に取り組んでいる」と話す。

こうした企業の変化は、00年前後に生まれたミレニアル世代とそれに続くZ世代が引き起こしている。市場調査会社ユーグリッドによれば、ミレニアル世代の過半数が「企業ブランドが自らの価値観に合致することが重要」と答えている(ベビーブーム世代で同様に感じているのは3分の1だけだ)。

環境問題への取り組みはどうか

世代の違いが最も顕著に表れているのが、気候変動への取り組みだ。若者は、トランプ政権の全メンバーより、何十年も長く気候変動の結果の中を生きなければいけないからだ。そのためか、ランキング100社のうち29社が、パリ協定に沿った炭素排出量削減を企業に求める「SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット=科学と整合した目標設定)イニシアチブ」に登録した。

パリ協定で目標となった「世界の平均気温の上昇を、産業革命以前から2度未満に抑える」に見合った、二酸化炭素(CO2)などの削減目標を立てた企業のみが得られる認定だ。そのほかの企業の中にも、マイクロソフトのように、公式には登録せずその目標を目指す企業もある。

「どのような大きな問題に対しても、どう対処するかを決める一連のプリンシプルを絶対に持っていなければなりません」(サティア・ナデラ)

文=マギー・マクグラス、アレックス・コンラッド 翻訳=木村小太郎/アシーマ

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