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退職後の生活のためには、どのくらいの貯蓄が必要なのだろうか?

例えばあなたが、65歳で引退したいとする。そして、あなたは健康で、長寿の家系だ。仮に90歳まで生きるとすれば、退職後の生活は25年になる。社会保障制度に頼ることができれば、それだけで十分だろか?──恐らく、そうではない。

年金に加入できる年齢から払い込み終了の年齢まで欠かさず保険料を納め続け、今年65歳で退職する人は、毎月2757ドル(約30万円)を受け取ることになる。受給開始年齢を70歳まで遅らせれば月額は3770ドルとなり、大幅に増える。

だが、多くの人が現在、実際に受け取っている年金は、月額2000ドルかそれ以下だ。1000ドル未満という人も多い。政府のデータによれば、平均受給額は1413ドルとなっている。年金以外に収入がないとすれば、あなたの定年退職後の生活は、クルーズやゴルフトーナメントとは縁遠いものになるだろう。

恐らく、備えはそれだけではないはずだ。社会保障制度はもともと、何十年もの退職後の生活を完全に支えるためのものではない。この制度は米国の平均寿命が現在よりかなり短かったころに、定年退職者が貧困に陥ることを防ぐために整備されたものだ。

年金があなたにそれほどの保障を与えることはない。それだけでは、不十分だ。

まさに深刻な問題

社会保障制度だけには頼らず、誰もがその他の方法で貯蓄しておくことが理想だ。だが、大抵の場合はさまざまな理由から、そうはならない。

賢いお金の使い方ができないこと、貯蓄しないことが理由の場合もあるだろう。ただ、賃金に関するデータによれば、米国人の多くには、典型的な中間層のライフスタイルを維持しながら、20年以上に及ぶ退職後のために十分な貯蓄をする余裕はない。

非管理職の従業員の週平均賃金は779ドル(約8万700円、今年3月上旬までに公表のデータによる)だが、これは過去40年でほぼ最高の水準だ。定年退職に近づいている何百万もの米国人の生涯給料は、年収に換算すれば多くても4万ドルだったと推計される。

老後に備えて何十万ドルもの貯蓄をすることができていなかったとしても、驚きではない。この賃金水準では、相当の自制心がなければ十分な貯蓄はできないというのが単純な事実だ。人口およそ3億3000万人のこの国で、一般的に考えられてきた「のんびりした老後」の生活を送れるだけの十分な貯蓄がある人は、驚くほど少ない。

平均的な賃金の人たちの個人型年金の資産残高は、わずか10万ドル程度だ。これだけの準備しかできていない状態で退職の年齢を迎える人たちが、どのような老後を期待できるというのか、疑問に思わざるを得ない。

本当に、これだけの準備しかできていないのだろうか?本当に?そうであれば、米国人はまさに深刻な問題を抱えている。わずかな年金しか受け取れない上に、住宅ローンや自動車ローンを完済していなかったとしたら──?

編集=木内涼子

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