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フラクタ共同創業者兼CEOの加藤 崇

シリコンバレーに本社を構え、機械学習のアルゴリズムによって水道管の劣化を予測するフラクタ。
その活躍は国境や業種を超え、世界中のインフラ産業の設備管理を根本から変えようとしている。


「米国の水道公社が何十年もかけて積み上げてきた予測精度を、たった1カ月の試作で超えられる。産業に与えられるインパクトはすごく大きいんです」

フラクタ共同創業者兼CEOの加藤崇は、自社の技術の可能性についてこう話す。

米国の地中には約100万マイル(約160万km)の水道管が埋まっており、その大部分が30年後に寿命を終える。しかし、これまでの配管の使用年数に基づく劣化予測や現場設備の目視確認などでは、予測精度に限界があり、適切な管理は行えない。実際、米国では老朽化した水道管の破損や漏水が年間24万件も発生しており、大きな社会問題となっている。

フラクタは、水道公社が蓄積した配管の破損データと、素材や使用年数、土壌、気候などのデータを組み合わせ、約1000項目の相関分析アルゴリズムにより劣化状況を高精度かつ短期間で導き出す。米国で2050年までに必要な水道管の更新費用は約110兆円と言われるが、この技術を使えば40%を削減できる可能性がある。

加藤は13年にグーグルが買収した東大発ロボットベンチャーSCHAFTのCFOとして、同社のM&A案件で中心的な役割を果たした人物だ。フラクタの事業は15年に立ち上げ、AI劣化予測の市場を一から切り開いてきた。オークランドの大手水道公社を皮切りに、顧客数は30社を超え、現在は週1件のペースで成長。

18年5月には水処理世界大手の栗田工業と資本業務提携した。新規事業の創出にあたりAI技術を取り込みたい栗田工業と、長期的なコミットメントのもと資金的、事務的な後方支援を受けたいフラクタとで思惑が合致。これにより水道公社と契約を結ぶ上で重要な社会的信用力も向上した。

活動は米国にとどまらない。水道管の劣化に国境は関係なく、世界各地で米国と同様の問題が生じる可能性があるからだ。このほど、フラクタは日本および英国を中心とした欧州で事業展開するためのパートナーを獲得。海外展開を開始した。

さらに加藤は、ガス配管や光ファイバーケーブル、鉄道の線路など、親和性の高い他のインフラ産業へのアルゴリズム応用を見据えている。第一弾として東京急行電鉄と連携し、鉄道電気設備の保守管理の高度化に向けた実証実験に着手した。

「『インフラのAI といえばフラクタ』と認められて、コストを半減させるなど、社会に明確な価値をだしていきたい」


加藤 崇◎フラクタ共同創業者兼CEO。早稲田大学理工学部卒。元スタンフォード大学客員研究員。東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)、SCHAFTのCFOなどを経て現職。2019年3月、Forbes JAPANオンラインにて、米国での奮闘記を連載開始する。

文=フォーブスジャパン編集部 写真=小田駿一

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