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グロッシアー(Photo by John Sciulli / Getty Images for Nasty Gal)

ニューヨークを本拠とするコスメブランド「グロッシアー(Glossier)」 が、増加傾向にあるユニコーン企業(評価額が10億ドル以上となったスタートアップ) の仲間入りを果たしてから、まもなく1カ月が経つ。

グロッシアーは、『ヴォーグ』誌のファッション・アシスタントだったエミリー・ワイス が立ち上げた美容ブログから生まれた企業だ。その同社が、ベンチャー投資会社セコイア・キャピタルがリードしたシリーズDラウンドで1億ドル(約111億円)を調達し、評価額が12億ドル(約1336億円)に達するユニコーン企業となった、とウォール・ストリートが3月19日に報じた。

創業者ワイスは現在、最高経営責任者(CEO)を務めている。2018年の年間売上は1億ドル(約111億円)で、前年の2倍だ。

ワイスの美容ブログ「Into the Gloss」 は、2010年に開設されるやいなや、月間閲覧数があっというまに1000万と驚異的なレベルに達した。

ワイスは、ブログ読者がブランドに対するロイヤルティを持っていないことに気がつくと、D2C(Direct-to-Consumer=自社で企画・製造した商品を消費者に直接販売するビジネスモデル) の美容ブランドを立ち上げて、現代のミレニアル世代やZ世代の消費者の心に響くようなメッセージを発信しようと決めた。グロッシアーの誕生だ。

美容業界はこれまで女性たちに、達成不可能な美の基準を追い求めるようプレッシャーをかけてきた。しかしグロッシアーは、そうした一般的な基準に抵抗している。「Less is more(少ないことは豊かなこと)」を掲げつつ、自らの特徴を隠さず、より魅力的にしようと呼びかけているのだ。

2014年に創業して以来、グロッシアーは、コスメからスキンケア、フレグランスへと、商品ラインナップを広げてきた。「すっぴん」メイクに欠かせない美容ブランドとして知られているほか、自らも「リアルライフ」のための「カジュアルでシンプルな」美容ブランドだと売り込んでいる。

グロッシアーがミレニアル世代やZ世代に大いに受けたのは、そうした世代には欠かせないソーシャルメディアを利用してリーチを広げたためだ。広告に、あらゆる民族や姿かたちの女性(と男性)を登場させ、リアルかつ高解像度のコンテンツを提供して、具体的なかたちで商品を紹介している。

グロッシアーは、ビジュアルコンテンツと、シンプルな見た目の商品デザインで、ソーシャルメディアを使ったコスメの販売チャネルを完成させた。

グロッシアーはまた、ニューヨークやロサンゼルスで実店舗をオープンさせたり、アメリカ各地に期間限定でポップアップストアを展開したりもしている。そうしたやり方をするデジタル世代ブランドは現在急増中だ。

グロッシアーの実店舗では、「ボディ・ポジティブ」(自分の体形を受け入れようと呼びかける動き) のメッセージ発信ブランドであることが表現されている。店内の装飾は、パールホワイトと、ミレニアル世代に好まれているミレニアルピンクであふれかえっている。

そのなかを、ピンクのジャンプスーツ姿でiPadを手にした従業員たちが歩き回り、同社の円滑なオンラインショッピング体験と同様の、フレンドリーかつスムーズなショッピング体験を提供している。要するに、インスタ映えを意識したデザインになっているのだ。

サンフランシスコに1カ月限定でオープンしたポップアップストアでは、グロッシアーのある商品が平均で20秒に1個売れたとされ、同社が今後も引き続き大きな成長を遂げるであろうことを示している。

2019年3月には、スピンオフ・ブランド「グロッシアー・プレイ(Glossier Play)」 も誕生した。評価額10数億ドルのユニコーン企業という呼び名も新たに獲得した同社には、美容大手に戦いを挑む用意ができているようだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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