World Restaurant Awards審査員


「言葉がわからないから」「睡眠不足だから」などという言い訳は一切ない。市場を後にした彼女は、午前のパネルディスカッションを取り仕切り、屋外の特設会場という難易度の高いロケーションでのコラボレーションディナーを行なった。その行動力とスピード感、バイタリティにも驚いた。

それが「女性だから」あるいか「男性だから」できる、というのは当たらないだろう。行動力もスピード感も、性別を問わず、成功者が持っている能力だと言えるからだ。

ただ、「男性より劣っている」という偏見があるからこそ、そうでないことを「証明する」努力が人一倍必要で、仕事とプライベートのバランスが難しいのも確かだ。全ての女性が、スーパーウーマンになれるわけではない。

私の息子は「父親が作る料理が好き」

すると結局、変えるべきは私たちの先入観なのかもしれない。

パネルディスカッションで「週末や夜、家族が家でご飯を食べる時に、他の人に料理をしなくてはならないことについてはどう思うか?」という質問に対して、11歳の一人息子を持つクリスティーナシェフはこう答えた。

「男性シェフに、同じ質問がされるでしょうか? 昔は父の役割、母の役割がありました。でも現代は家族の中にいる、平等な二人の大人という役割だと私は考えています。私の息子は父親の作る料理が好きですし、ステレオタイプな母親像に捉われ苦しむ母親を見るより、自分の決めたことをやって幸せそうにしている母親を見て育つことの方が大切だと思っています」

幸せの形は人それぞれだ。

近代化は私たちの生活を便利にした。それに伴い、「幸せ」も変わっているはずだ。私たちは過去に育まれた先入観を、現代に追いつかせる必要があるのかもしれない。

文=仲山今日子

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