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ロリ・ロックリン(左)、フェリシティ・ハフマン(右)(Gettyimages)

米国史上最大の大学裏口入学スキャンダルが起きた。テレビプロデューサーのウィリアム・リック・シンガーが首謀した裏口入学計画に関与したとして、50人が米連邦捜査局(FBI)により訴追されたのだ。女優のフェリシティ・ハフマンやロリ・ロックリンを含む裕福な保護者らは、合わせて2500万ドル(約28億円)以上を支払い、子どもが名門校に入学できるよう、テストの点数やスポーツでの功績を捏造(ねつぞう)した疑いがもたれている。

起訴状によると、親らはシンガーに対し、試験1回につき1万5000~7万5000ドル(約170万~830万円)を支払い、子どもの大学進学適性試験の点数の捏造を依頼していた。シンガーは親らに対し、子どもに注意力欠如障害(ADD)などの学習障害があると偽ることで「試験時間を延長するよう試みる」ことを推奨したほか、試験官2人と「試験請負人」1人と共謀し、替え玉受験や解答改ざんを行った。

また依頼者らは、エール大学や南カリフォルニア大学(USC)などのスポーツチームのコーチに賄賂を贈り、子どもが優秀なスポーツ選手であると推薦してもらっていた。スポーツ枠入学者の選抜方法は大学によって異なるものの、一般的にコーチは毎年一定数の生徒を推薦できる。入学事務局は、こうしたコーチの意見を考慮して入学の是非を決める。

ある親は、子どもの「エール大学入学支援」費用としてシンガーに120万ドル(約1億3000万円)を支払っていた。シンガーは、当時エール大学で女子サッカーチームのコーチをしていた人物に40万ドル(約4500万円)を渡し、偽造したスポーツ成績を基に該当生徒を推薦させていた。

最悪なのは、こうした親が良い親になることや子どもをきちんと育てることよりも、「自慢の子」を持つことを気にかけていた点だ。優秀とは言えない生徒が家族のコネによって一流大学に入学し、卒業後は父親の会社で上役を務め、相続した数億ドルの金を使って不動産業で有名になり、さらには米大統領になることさえも十分に可能なのだ。

エリート校に多額の寄付を行えば子どもの入学に有利となることは、もはや公然の秘密だ。私はエール大学在学時、大学の建物や美術館、図書館の棟の名前に自分の姓がついていたクラスメートがいた。こうした学生が自力で入学したと信じたいのはもちろんだが、多額の寄付を行う家族を持つことに全く影響力がないと思うのはナイーブな考えだろう。しかし今回の保護者らは、寄付者となることで子どもを「後押し」したわけではない。平等性や子どもにとって最善の利益よりも、うわべだけの成功に価値を置き、あからさまな不正と詐欺に関与したのだ。

編集=遠藤宗生

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