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日本のECサイトには、事業規模の大小を問わず、年々多くの「海外から」のアクセスがある。ジャパンカルチャーはもとより、日本人が普段購入する「信頼できる商品」を求め、ワールドワイドウェブの名の通り世界中の多くの人が食指を伸ばすのだ。しかし、ほとんどのECサイトは海外からの注文や発送に対応できていない。すでに海外に支社や代理店など販売網を持つ大手でさえも全商品・全種類を展開できてないし、小規模店は問い合わせに困ると言っても過言ではない。この現状を「たった一行のJavaScript」で解決した男がいる。


株式会社ジグザグ(以下ジグザグ)の仲里一義は、「インターネットには言語・決済・物流の『壁』が存在する。その『壁』をテクノロジーで壊し、世界中の“欲しい”に応えていく」と語る。訪日外国人観光客は、2019年2月には260万人を超えた。日本で観光やショッピングを楽しんだ外国人が、気に入った商品を帰国後にネットで再購買するという行動は容易に想像できる。また、実際に日本に来なくても、いわゆる越境ECを通じて、日本のWEBサイトに直接アクセスして購入するケースも年々増加している。仲里は言う。

「実際にリアルのお店に来てもらえるインバウンド(訪日観光客)はとてもわかりやすく、皆さん一生懸命に接客なさっている。それが、なぜかWEBサイトになったとたんに海外からのアクセスに対して、多くの事業者の方がほぼ放置しており対応に消極的になる。アクセス数を目の前で示してもです。これは本当にもったいない。WEB上のインバウンドも対応できることは大きなチャンスなのですが、実際は対応したくてもできないというのが実情です」

ジグザグの解決策は、目の前の霧が晴れる一望千里の印象があった。『たった一行のJavaScriptをサイト上に埋め込む』これだけだ。同社の実績・調査によると、日本語のECサイトでも、アクセス数の2%から8%前後のアクセスが海外からあるという。国数で言えば、50から80カ国にも及ぶ。ジグザグの仕組みは、これらの「購買機会」を逃さないものだ。


仲里 一義|株式会社ジグザグ 代表取締役
デジタルマーケティング会社、ロジスティクス企業の代表取締役を経て2015年に株式会社ジグザグを設立。数多くの有名スタートアップが巣立った渋谷のハッチェリーに拠点を構える。ロジカルに、且つ熱量を伴う言葉にECの未来を変える決意が見て取れる。


「たった一行のJavaScriptを日本語ECサイトに埋め込むだけ。これによって海外対応の障壁である言語・決済・物流に加えEC事業者の人・システム・オペレーション・コストの課題を解決します。日本から見るといつものWEBサイトですが、海外ユーザーが現地から見るとブラウザ言語に最適化された弊社の『WorldShopping』のバナーが表示され『あなたの代わりにWorldShoppingがお買い物してお届けまでします』ということを案内します。その後、海外ユーザー専用のショッピングカート、125ヵ国対応の住所入力フォーム、海外対応の各種決済(PayPal、Alipay、銀聯カード、海外クレジットカード)でオーダーを受け付け、海外配送まで当社がすべて行います」

越境ECは事業規模を問わない。街の商店から大規模事業者に至るまで、その需要に応える明確な解答が生まれたということだ。


ベンチャーキャピタルの目線
──日本のECのポテンシャルを──

モバイル・インターネットキャピタル|元木 新
越境ECは特に日本のショップさんの課題です。2020年までに日本から米中向けECの市場規模は2兆9000億円になる予想もあります(経産省:ECポテンシャル推計値2017年より)。通常はシステム開発に途方もない金額を要しますが、WorldShoppingは数万円で可能なうえ、購入代行サービスなのでEC事業者は通常の国内販売とオペレーションを変更することなく日本国内のジグザグに商品を発送するだけなので負荷が低い。ジグザグが提供する仕組みは特許取得済みで、このミニマムで最良の仕組みが日本のECを変える可能性を感じさせます。



店舗最大の懸念、物流とファイナンスに何らハードルはない

こだわりの店、日本らしい誠実なものづくり。外国人にとって、まばゆいアイテムと感じるだろう。ジグザグの仲里は数多くの店鋪と接する中で得た興味深い事例を教えてくれた。

「国内の有名な大手楽器店でメードインUSAのユーズドの楽器が外国人に買われています。海外のオークションサイトや各種ECサイトでは質の良いユーズドは少ないそうで、日本のメジャーな楽器店で仕入れたそれは、きちんと手入れされ、モノとして安心という理由です。さらに大手ECサイトだけでなく地方の釣具店や武道具店など中小規模のECサイトにも海外からのアクセスがあり世界中からオーダーが入ってます」

ECの仕組みを作ってはいるものの、世界からの注文に効率的に対応できるケースはほとんどない。お店にも消費者にとってもこれは不幸だ。ジグザグの仕組みである〈WorldShopping BIZ〉はサイトに組み込んだ一行のJavaScriptが海外閲覧者に対応する画面を作り出し、受注から支払いまで済ませることができる。ジグザグが代行するため海外発送も不要、そして何より、クレジットカードなど、店舗の大きな懸念である海外決済や不正決済対策もサービスに含まれるため、およそほとんどの海外対応の仕組みを自動化できてしまう。そしてWorldShoppingというサービス名のとおり、世界を相手に商売を始められるのである。

仲里は国際物流サービスを扱う外資系企業のトップであった経歴を持つ。その知見は、ジグザグが提供するサービスに昇華されている。

「ビジネスモデルの視点で言うと、売り手と買い手双方を支援していることが当社の最大の強みになっています。なぜならば、買い手のオーダー(注文・支払い)ありきで取引が始まるので、我々が在庫を抱えるリスクがないからです。海外通販にも色々な仕組みがありますが、貿易の知識、海外配送のノウハウ等をプロである我々にお任せいただくことで、配送トラブルなどを未然に防げますし、万が一何か起きてもジグザグが存在する安心感は、売り手・買い手双方にとって魅力に映っていると思います」

【連載】注目企業と先見のVCが組み生まれる上場へのベストプラクティス

上場を見すえジグザグが目指すもの

WorldShoppingBIZは大手企業も注目している。すでに、大手ブランドや、メーカー、ECモールなど、錚々たる企業が導入している。その理由は上述の物流とファイナンスの仕組み以外にもある。海外ユーザーの購買データだ。

「WorldShoppingを通じて売り買いされるデータは弊社に蓄積されていきます。これにより、購入履歴はもとより、売れ筋の傾向、世界の地域の特性など圧倒的なデータ量と、購買を追うことで得る正確な情報が提供できます」

世界中の消費者のドメインをまたいだ購買データを持つ企業の誕生ということだ。その価値は高い。あるTシャツの購買が、通常であればアジア圏に人気でも、キャラクターが入るとアニメ好きの欧州地域からの注文数が増えるといった傾向も簡単に導き出せる。


元木 新|モバイル・インターネットキャピタル マネジングディレクター
最先端技術の動向、知財戦略の構想策定・実行支援に携わり、同社ではRPAやロボティクス関連にも注力。ジグザグのユニークな事業展開を資金面、そしてメンターとして支援する。



ベンチャーキャピタルの目線
──プラットフォーム化への期待──

モバイル・インターネットキャピタル|元木 新
仲里さんのアイデアと実践でトランザクション(取引や商流)中心に成長を遂げてきました。2年強で売り上げが220倍というのは驚異的です。私たちベンチャーキャピタルとしては、ここからプラットフォーム化をともに進めているところです。商流から購買データまで持つということは究極のクオリティ・コントロールが可能なプラットフォームができると考えています。マーケティングデータを使っていくことで、それが新しいビジネスとなり、広告サービスにも転用できたりと、共に可能性をカタチにしていきたいと考えています。



成長とベンチャーキャピタル

仲里は、伴走するモバイル・インターネットキャピタルをこう評する。

「僕にとっては安心感ですね。経営者は孤独といいますが、私もそれを実感します。メンターとしての元木さんの存在は大きい。また、個人投資家様とはまた違った人脈や情報を持つのがベンチャーキャピタル。その意味でも、ビジネスの広がりを感じる存在ですね」

日本中のECサイトにWorldShoppingのロゴが現れる姿。それは2020年とは言わず、すでに加速する国際化の流れに後押しされるだろう。

モバイル・インターネットキャピタル
https://www.mickk.com
連載「モバイル・インターネットキャピタル」
── 見えている経営者と道を示すVC ──

#1公開中|元マジシャンがVR界の風雲児となったゆえん
#2本記事|たった一行のJavaScriptで日本のECを世界企業に変える野望
#3公開中“先見”のベンチャーキャピタルが持つ独自のプロセスに迫る

Promoted by モバイル・インターネットキャピタル text by Forbes JAPAN 坂元耕二 photographs by Setsuko Nishikawa

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