LGBTからダイバーシティを考える


「なんでもすぐに共感」は危険

杉山:現場に足を運んで、実際の意見を自分の目で確認する村本さんの姿勢は、本当に尊敬しています。LGBTについては自分も当事者の一人ではあるのですが、それでもLGBTの全てを語っていいとは思っていません。一口にLGBTといっても、考え方や悩みはバラバラですから。

一方で、社会課題に対してちゃんと自分なりの意見をもつことはすごく大事だと思いつつ、うわべの情報だけで意見を語ることは危険だとも思っています。

専門家ですら間違えることは少なくないし、しかも自分の発言によって、問題に一番身近でかかわっている人たちに迷惑をかけてしまうのではという恐れが、常にあるんです。だから僕は、特定の分野については容易に発言しないよう気をつけています。

村本さんの韓国訪問だって、1000人に意見を聞けばまた結果が変わるでしょう。韓国人にだってりんごを赤だと言う人もいれば、紫だと考えている人すらいるかもしれませんよね。

村本:そうなんです。でも、僕はそれが面白いんですよ。フランス人に聞いたらなんと黄色だと考えている人、さらにはレインボーだと思っている人もいた!みたいなこともある。

自分のコミュニティとは違う、多様な意見によって世界はできていると思っています。しかも、みんなに想像力があるから、自分とは違う意見についても色々感じることがある。

そのとき、もっている情報が仮に違ったとしても、自分と同じ姿勢を探して、納得できることもある。この「共感」が大事だと思っています。

杉山:はい、まさに「共感」こそがダイバーシティの一番のキーワードだと思います。でも、そこには抵抗感もあって。

例えばLGBTに対して「異性愛も同性愛も関係ない。同じ人間じゃん」と言ってくださるのはありがたいですが、それは結構危険な言葉だとも思っています。

「いろんな人がいるけど、みんな同じ人間なんだ!」と括ると、ダイバーシティは余計おかしな方向になる気がする。「一人一人みんなが違うけど、ここは共感できるよね」というポイントを見つけて、その輪を広げていくのがダイバーシティの本質なんだと、村本さんの話を聞いて改めて感じました。

構成=野口直希 写真=小田駿一

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