フリーライター/エディター


「大学で建築を学んでいたとき、顧客の顔が見えない中、図面を引きデザイン提案をする事に違和感を覚えていました。ところが、初めてShopbotを使ったとき、いままで仮想空間にあったものが、実際に生活で使えるものとして出力される事に衝撃を覚えました。

僕自身は本が好きなのですが、好きな本の判型が好きな高さに来る本棚が作りたくて、EMARFを用いてつくりました。こだわりがあるから作り、そのこだわりこそが暮らしをつくる。そんな風に、つくることと暮らすことの距離を縮めたくて、このサービスを作ることにしました」

そうして開発されたのが、EMARFだ。

「VUILDが提供している体験は、『全て自作する』と『全てつくってもらう』の中間にあります。正直、僕もDIYみたいな本格的な作業は苦手。多くの人もそうだと思います。だからこそ、木材加工やCADの技能取得に関するハードルを超えて、より多くの人に『ものをつくる』プロセスを体験してほしい」

希望すれば、出力されたパーツの仕上げや組み立てもShopbotのオーナーに依頼することができる。それでは「手を動かしてものをつくっていない」と思うかもしれないが、そうではないと秋吉。

「もちろん、出力された部材を組み立ててもらう必要はありますが、重要なのは、ものをつくるという行為に実感が得られるかどうかです。どこにどんな大きさで、なにを入れて、どんな形で、どこの材で、だれに切ってもらい、だれと一緒につくるのか。肝心なのはどれだけ汗をかいたかよりも、どれだけプロセスの中に自分の『想い』を込められたかどうかです」

「地方発」の建築流通をつくる

VUILDには、もう一つ事業がある。秋吉のCEO/アーキテクトという肩書きが示すように、秋吉はShopbotの販売とEMARFの開発を進める傍らで、自ら木材を加工し、建築や家具をデザインしている。川崎にあるVUILDのオフィスも、1階には様々な工作機械と木材が所狭しと並ぶ、工房のような環境だ。

これは、単に作品を作っているだけではない。EMARFのテンプレートとして展開可能なユースケースをつくるべく、地方の木材の特性を活かしながら自ら新しい領域に挑戦しているのだ。


浜松の天竜材をSHOPBOTで加工して製作したバス停(2019年2月竣工)

編集=フォーブスジャパン編集部

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