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専門家の間では、こうした分野も市場原理が働く民間に委ねるべし、という意見が強い。だが、現実に、国家主導の長期的視点からの先行投資が大いに奏功した事例は多い。高度成長期の日本がそうであったし、市場主義の総本山とされる米国も数多く経験しているといわれる。

マリアナ・マッツカート博士は代表的な著書『The Entrepreneurial State』で新薬やGPS、さらにはiPhoneの諸々の技術も国家主導の技術革新投資の賜物だったとする。

同書には反論が多くあるが、米国トランプ政権が、国家主導の塊みたいな中国による「中国製造2025」を蛇蝎のごとく嫌う様をみると、相槌を打ちたくもなる。昨年末、大騒ぎになった産業革新投資機構を巡る「ボタンの掛け違い」問題は、官民ファンドの存在意義とあり方を見つめ直す良い機会になったと思う。禍い転じて福となしたいものである。

また、官民ファンドはすでに約900件、2兆2000億円の支援を決定している。これに誘発された民間資金は3兆8000億円に上る。官民ファンド不要論はこの現実をどう解決するつもりなのだろうか。

無論、再検討すべき課題は再検討し、国民の不断のモニタリングを確保しなければならない。ただし、本質を踏まえない議論に過度に振り回されると、隘路に嵌る。ゴルフと同じだ。

そういえば。あれ以来、ゴルフはトラウマになった。やめてから20年以上経つ。


川村雄介◎1953年、神奈川県生まれ。大和証券入社、シンジケート部長などを経て長崎大学経済学部教授に。現職は大和総研副理事長。クールジャパン機構社外取締役、南開大学客員教授を兼務。政府審議会委員も多数兼任。『最新 証券市場』など著書多数。

文=川村雄介

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