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オリエントコーポレーション代表取締役社長の河野雅明

国がキャッシュレス化に本腰を入れ始めた。経済産業省は2018年4月、「キャッシュレスビジョン」を策定。16年時点で20だったキャッシュレス決済比率を、25年まで40%に引き上げることを目指すと発表した。実現されればクレジットカードの取扱高が増えることは間違いない。

クレジット会社にとっては絶好の追い風。ところが、オリエントコーポレーション代表取締役社長、河野雅明の表情に笑顔はない。

「追い風であることは否定しません。しかし、チャンスであると同時にリスクでもあるんです」

なぜキャッシュレス化がリスクなのか。日本はキャッシュレス決済のうち9割以上がクレジットカード決済だ。しかし、近年は従来の板のカードだけでなく、モバイルの非接触型決済やQRコード決済など、新しいテクノロジーを活用した決済方法が続々と誕生している。

「高額商品を買うなら後払いのクレジットカード、屋台でラーメンを食べるなら小口向きのQRコード決済というように、これからは私たちもお客様のニーズや決済シーンに合わせて商品を提供していく必要があります。一方、私たちのクレジットカード事業の取扱高は2ケタ成長で伸びている。その成功体験が、新しい取り組みの阻害要因になりかねない。過去を捨てないと、世の中の流れに乗り遅れる」

河野の危機感が如実に表れたのが18年10月に発表した新中期経営方針だ。オリコの中計はこれまで5カ年で、今期は現中計の4年目に当たる。通常なら、現中計が終わる20年4月に新しい中計をスタートさせるが、来期から1年前倒しして、しかも3カ年計画へと変更させた。

「新しいテクノロジーの登場だけではありません。シェアリングやコト消費など、個人の消費スタイルもすごいスピードで変わっています。たとえばわが社が強みを持つオートローンも、近年は個人向けオートリースを活用する人が増えてきた。こうした変化に対応するためには、現中計の終了まで待てない」

過去の成功体験を捨てる──。力強くそう言えるのは、河野のこれまで歩んできた銀行人生に裏打ちされているからだろう。

河野が第一勧銀(現みずほ銀)に入行したのは1979年。入行直後の5月には、支店で月間MVPに選ばれた。理由は、店内で一番大きな声で挨拶していたから。本来ならMVPに応しい理由ではない。しかし、支店長はルーティンに流されがちな行員たちに活を入れるため、あえて新人を表彰した。

文=村上敬 写真=間仲宇

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