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英フィナンシャル・タイムズ(FT)は2月17日、関係筋の話として、英国サイバーセキュリティセンター(NCSC)が、5Gネットワークに中国ファーウェイの製品を使用しても、「発生するリスクを制御できる」と結論付けたと報道した。

米国やニュージーランド、オーストラリア政府は5Gネットワークからファーウェイ製品を締め出す措置に出ている。ファーウェイ製品の使用が、ネットワークへの中国政府の侵入を許す懸念が生じているからだ。

ファーウェイ創業者の任正非(Ren Zhengfei)は、中国の人民解放軍出身だ。中国政府は全ての企業が政府の要請に応じ、国家の諜報活動に協力せねばならないと法で定めている。

英通信大手BTは昨年12月、既存の3Gや4Gネットワークの中核からファーウェイ製品を除外し、計画中の5Gネットワークでもファーウェイ製品を使用しないと宣言していた。

しかし、NCSCは独自の見解として、ファーウェイ製品の使用リスクはコントロール可能であると結論づけたのだ。英国は今年春に、通信ネットワークのリスク査定をまとめた文書を公開予定であり、そこにはNCSCの意見も組み入れられる。

現実問題として、通信分野で最も巨大な勢力を誇るファーウェイを完全に除外することは難しい。モバイル業界の世界的団体GSMAは「ファーウェイ製品の排除は欧州の通信キャリアの運営の様々な部分に打撃を与え、企業や消費者の負担は増大する。欧州での5Gの導入は数年遅れとなる可能性もあり、5G構築の基盤となる既存の4Gネットワークの維持にも支障をきたす可能性がある」と述べた。

FTの記事は英政府の「意図的リーク」か

英法律事務所Mishcon de Reyaでサイバーセキュリティ主任を務めるJoe Hancockも、同様な意見だ。「英国には次世代のイノベーションを自国の力のみで実現可能な、市場ボリュームが存在しない。5Gネットワークを、海外企業の手を借りずに実現することは不可能だ」

FTの記事で関係筋は次のようにコメントした。「英国が正式に、ファーウェイ製品のリスク回避が可能であると宣言すれば、他の諸国も彼らの方針を見直す必要が生じるだろう」

今回のFTの記事は、英国政府内部からの意図的なリークによって書かれたものと推測できる。この動きの背景には様々な要因が潜んでいる。

FTの記事が注目を集めた前日の16日、英BBCは17日からの週に予定されていた英ハモンド財務相の中国訪問が突如キャンセルされたと報道した。これは、英国のウィリアムソン国防相が2月11日、空母「クイーン・エリザベス」を太平洋海域に派遣すると発表したことに、中国が反発したからだ。

3月下旬のEU離脱を控える英国の国防相のウィリアムソンは、離脱後も英国の軍事プレゼンスの維持が必要であり、中国が軍事面でのプレゼンスを高める地域に、空母を派遣する意向だ。これに対し、中国の胡春華副首相が反発を示し、会談をキャンセルしたと報道されている。

英財務省はEU離脱後も、中国との貿易維持を望んでいたが、今回の会談のキャンセルにより、それが脅かされる事態となった。

FTにリークされたNCSCの見解は、非常に曖昧なものであり、現時点ではある種の助言としての効果しかもたないものだ。米国がこの報道を、今すぐ重大に受けとめるとも考えにくい。

しかし、英国がEU離脱を控え、非常に慎重な対応を求められるタイミングで、中国製品の採用に関して前向きな意見が公にされたことは、英中間の緊張を、少しでも和らげる効果をもたらすことになった。

編集=上田裕資

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