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投資家らは、こうした事実にもかかわらず肉・酪農業界が現在設定している水資源や気候変動の指針・目標は限定的だと指摘している。FAIRRの調査では、調査対象となった畜産企業の70%以上が温室効果ガス排出量の削減目標を設定していなかった。またシリスの調査によると、食肉生産業は水資源管理で最も順位が低く、世界の主要な窒素・リン汚染源だった。

投資家からの書簡は、ファストフード企業に対し次のことを要請している。

・畜産食品のサプライヤーに対し、温室効果ガス排出量と水資源への影響を報告・削減する明確な要件を設けたサプライヤー指針を採用すること

・自社の肉・乳製品サプライチェーンで発生する温室効果ガスや水資源への影響を抑えるため、定量的で時間枠を定めた目標を立て公表すること

・こうした目標に対し、毎年進捗を公表することを確約すること

・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨事項に沿った気候変動シナリオ分析に着手すること

シリスの社長で最高経営責任者(CEO)を務めるミンディー・ルバーは「ファストフード大手は素早く食事を提供しているものの、環境に大規模な影響を与えていることへの対応は非常に遅かった」と述べた。

「投資家は、肉・乳製品サプライヤーによる深刻な水資源リスクや気候変動リスクを緩和するため、こうした企業がより強いリーダーシップを発揮することを望んでいる。森林伐採の撲滅から水の浪費の削減まで、サプライチェーンを管理すれば畜産業界全体に大きな影響がもたらされ、地球温暖化を食い止めるためのパリ協定の目標を達成できる可能性が大いに高まる」(ルバー)

BMOグローバル・アセット・マネジメントの責任ある投資部門で共同部門長を務めるアリス・エバンズは、先を見据えた投資家らは肉・乳製品への逆風を無視できないと指摘する。「環境規制の増加、植物由来食品への消費者需要の高まり、集約農場での水汚染の懸念は全て、ファストフード多国籍企業の価値に対する長期的な脅威となりつつある」

アビバ・インベスターズの上級SRIアナリスト、ユージニー・マシューは、気温の上昇と水資源を巡る競争の激化が投資家にとってますます重要な問題となっていると指摘している。

「投資家は農場から食卓まで、どの企業がサプライチェーンの長期的な環境リスクを監視し最小化しているかを理解したいと考えている。この取り組みは、投資家がファストフード業界に持続可能なサプライチェーンの実現を期待していることを明確に示している」

翻訳・編集=出田静

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