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2018年9月に中国・天津で開かれたサマーダボス。映像クリエーター、ミリカ・ゼックがつくったVR体験「Tree」を見ようとスーツ姿の来場者が列をなした。

ヘッドセットをつけると、自分が土の中の種になっている。太陽に向かって芽を出し、風や花の香り、生き物の振動を感じる。枝を広げ、周りの木を追い越して、周囲の熱帯雨林を一望できたころ、遠くで炎が上がる。人間の騒ぎ声や地鳴り、煙の匂い火が近づくのがわかる。

音や匂い、振動も人工的に再現し、人間に破壊される熱帯雨林の「感情」を体感させる作品だ。「動けない木になって世界を見渡してほしい。毎日、何百万本という熱帯雨林が同じ運命をたどっています。頭で理解しても行動につなげるのは難しい。しかし、自然と感情的につながれば、背を向けられません」

次のプロジェクトは熱帯雨林をテーマにした携帯ゲーム。「ゲームを楽しみながら寄付する仕組みにする。強力なテクノロジーを使って、楽しくお互いを助け合える世界をつくりたいんです」


Milica Zec◎戦時下のセルビアで生まれ育つ。米国に移住し、独立系のドキュメンタリー映画製作などに携わる。2016年にウィンズロー・ポーターとNew RealityCompanyを創設し、故郷での戦争体験をもとにVRを使った『Giant』を発表。カンヌ国際映画祭などで上映される。9月には世界経済フォーラムのサマーダボスで「Tree」を披露した。

文=成相通子 写真=マシュー・スコット

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