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Marcos Mesa Sam Wordley / shutterstock

なかなかぐっすり眠れないという人は多い。だが、そうした人たち全てが、まったく同じように苦しんでいるというわけではない。

英医学誌ランセットに先ごろ掲載された研究結果によれば、不眠症は5つのタイプに分類することができるという。つまり、睡眠に関する問題を解消するための方法は、患者がどのタイプの不眠症であるかによって異なると考えることができる。

米国睡眠財団によると、不眠症は「睡眠を取る十分な機会があるにもかかわらず、満足な睡眠を取ることができない状態が慢性的に続く」疾患だ。症状には、「寝付けない、安眠できない、短時間で目が覚める」などがある。

研究チームはオランダで行われている睡眠に関する大規模な研究プロジェクト「Netherlands Sleep Registry(ネザーランズ・スリープ・レジストリー)」の参加者4000人以上を対象としたアンケート調査の回答を分析した。

その結果、回答から判断する限り参加者の半数近くが不眠症であるとみられることが確認された。さらに、性格や感情、気分などに関する特性をはじめ幾つかの要因についても調べたところ、不眠症の人たちは次の5つのグループに分類できることが分かった。

1. 不安など否定的な感情のレベルが高く、楽しいという気持ちに関連した感情や全体的な幸福感のレベルが低い

2. 中程度の精神的苦痛を感じているが、楽しいという気持ちに関連した感情や全体的な幸福感のレベルは平均的

3. 中程度の精神的苦痛を感じており、楽しいという気持ちに関連した感情や幸福感が平均レベルを下回る

4. 精神的苦痛のレベルは低い一方、ストレス要因によって慢性的な不眠を経験している

5. 精神的苦痛のレベルは低く、ストレス要因の影響も受けていない

研究チームは、それぞれのタイプと治療方法の間の相関関係について調査した。その結果、認知行動療法を含むトークセラピー(話し合い療法)は、タイプ2の人に効果的であるものの、タイプ4の人には適していないとみられることが分かった。

また、これら2タイプの不眠症の人たちはいずれも、治療薬の処方で症状の改善が見られる傾向があった。だが、タイプ3の人たちには、睡眠薬はあまり効果的ではなかった。

この研究から得られた結果の中で最も気掛かりな点は、タイプ1の人にはうつ病を発症するリスクが生涯にわたって高いとみられることだ。このタイプの人の不眠症を治療するには、根底にある感情面の問題に対処することが重要だ。

論文の筆頭著者である藤田医科大学の北島剛司准教授(精神神経科学)は研究結果に関連して、臨床医はここ何年間かの間に、不眠症に関する「革命的な変化」を経験したと述べている。

その変化は主に、「不眠症とその他の精神疾患・身体疾患にはそれぞれに個別の過程があると同時に双方向的な関連性があり、いずれも臨床的には個別の配慮と治療が必要であると認識されるようになった」ことに基づいているという。

言い換えれば、人口のおよそ10%に影響を及ぼしている不眠症を、特異な問題として捉えることはできないということだ。不眠症は、実際に効果がある治療法を見つけるためには多角的な対応を必要とする多面的な問題だ。

一方、研究チームによると、調査に協力した回答者は全員、自発的に協力した(参加する意思があった)人たちであり、結果は必ずしも、より幅広い層の人にも当てはまるものとは言えない可能性がある。

今回の研究結果を確認し、特定されていないその他のタイプの不眠症があるかどうかを確認するためには、今後さらなる研究が必要だという。

編集 = 木内涼子

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