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Photo by Leon Neal/Getty Images

筆者は昨年末、エコノミストのビクター・ヒルが書いた「News from Euroland—Recession Imminent(ユーロランドからのニュース:差し迫るリセッション)」と題された記事を読んだ。

その書き出しは、次のようなものだ──「欧州全体において、特にユーロ圏19カ国については、経済に関する厳しいニュースが相次いでいる。2018年の大半の時期において見られた新興市場での信用収縮と中国経済の減速が、欧州に悪影響を及ぼしたことは明らかだ…幾つかの重大な出来事が、同時に起ころうとしている…」。

欧州経済は確かに力を失っているが、自分なら「差し迫っている」という言葉は使わないだろうと思いつつ、記事を読むうちに「少し心配」という以上の気持ちになってきた。そこで、この記事で重大な問題として指摘されている3つの事柄を紹介する。

1. 金融政策という「薬物」からの離脱症状

欧州中央銀行(ECB) は2017年以降、国債や株式などの資産購入の規模を縮小してきた。そして、そのECBによる量的緩和策は昨年末で終了することになった。

つまり、ユーロ圏はこれまで大きく依存してきた金融政策という名の“薬物”を失ったということだ。その影響を受けるのは、ユーロ圏諸国だけではない。全ての欧州連合(EU)加盟国だ。

2. 高まる「ハードブレクジット」の可能性

英国はEUに対し、期限までに双方が離脱に関する条件に合意したかどうかにかかわらず、今年3月29日に離脱することを正式に通達した。「ハードブレグジット(合意なき離脱)」は、控えめに言っても混乱を引き起こすだろう。企業が法的空白の中で事業活動を行うことになる可能性があるからだ。

問題の一部は、世界貿易機関の規則でカバーすることができるかもしれない。だが、英国とEUの間の貿易量は、確実に減少するだろう。その後の状況がどうなるのかは、誰にも分からない。

3. 文化戦争

ヒルが3番目に挙げる深刻な問題は、拡大するイタリアの危機だ。同国の銀行は現在、社債発行に向けた借り換えに問題を抱えており、すでに力を失っている民間部門への融資を減らしている。また、住宅ローン金利の上昇により、個人消費も減少している。イタリアはほぼ間違いなく、すでにリセッション(景気後退期)に入っている。

だが、仮にイタリアの危機が「単なる経済的なもの」だった時期があったとしても、同国はすでに、そのような状況にはない。それは、反移民を掲げるポピュリストと、彼らが自分たちの利益を脅かす存在だと考えている「エリート」との文化戦争が起きているからだ。

編集=木内涼子

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