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女性はここ数十年、ビジネス界で数々の業績を残してきた。にもかかわらず、いまだに過去の亡霊に足を引っ張られていることが、2018年11月に公表された2つの研究から明らかになった。

問題のひとつは賃金格差だ。女性政策研究所(IWPR)が発表した報告によると、賃金の男女差はこれまで考えられていたよりも大きい可能性がある。また、経営学の専門誌『Journal of Management』で発表された新しい研究によると、女性の最高経営責任者(CEO)は、男性CEOと比べて、解任される確率がずっと高い傾向が見られるという。

男性CEOと女性CEOが解任されたときの企業の財務的背景にも奇妙な違いがあり、今後の研究でより注視していく必要がある。

まず、賃金格差だが、女性政策研究所の報告によると、男女の賃金格差は拡大しているようだ。以前の概算では、男性の賃金1ドルに対して女性はおよそ80セントとされていた。しかし今回の報告では、女性の賃金はわずか49セントほどであると示されている。

女性はまた、休職した際にかなり大きな金銭的影響を受けている。1968年からの30年間を見ると、1年間休職した女性は、まったく休職しなかった女性と比べて、年収が平均で12%低かった。ところが、2001年から2015年のあいだの15年では39%も低くなっている。

もうひとつの研究は、異なる理由で示唆的だ。アラバマ大学、メンフィス大学、クレムソン大学、ミズーリ大学の研究者チームは、株式公開企業に関する2000年から2014年のあいだのデータを、プレスリリースや、ExecuCompやBoardExなどのデータベースで調査。辞任したCEOと、解任されたCEO、ジェンダー、会社をめぐる当時の状況を分析した。

その結果、総合的に見て、女性CEOは、男性CEOと比べて解任される確率が約45%高かったことがわかった。さらに興味深いのが、業績が改善すると、男性の場合は解任の可能性が低くなるのに対し、女性の場合はそうではなかったことだ。

論文著者の一人であるサンドラ・モータルは、声明で以下のように述べている。「CEOの解任は通常、コーポレート・ガバナンスが有効に働いている証拠だとみなされる。お目付け役である取締役会が真摯に取り組んでいることを示しているからだ。ところが、取締役会がCEOについて評価を下したり、特定のCEOを留任させるか解任するかを決断したりする際、そこには目に見えない深刻な性差別が存在していることが、私たちの研究から明らかになった」

モータルら研究者は、経営が順調なときは、男性CEOが解任される可能性は低いようだとしている。他方、女性の場合はそうではなく、経営が順調であろうがなかろうが、解任される可能性は同じだった。これは、「業績の堅調さは、男性CEOのパフォーマンスや本質的価値に起因する」と考えられている傾向がより強いことを示しているのかもしれない。

論文著者の一人ヴィシャル・グプタは、「こうした結果は、男性幹部より女性幹部のほうが、より大きなプレッシャーと厳しい視線にさらされていることの現れだ」と指摘する。「これは問題だ。というのも、女性は、いわゆるガラスの天井を突き破る上で困難な壁や障害に直面しているばかりか、企業ヒエラルキーの頂点に到達したあとでさえも、さらなる問題に突き当たっていると思われるからだ」

CEOの就任・解任をめぐる男女の微妙な差異を理解するためには、研究をさらに進めなくてはならない。しかし、今回の2つの研究が示す見識は興味深い。これらの研究はもしかしたら、長い年月を経てもいまなお存在するジェンダー・ギャップと、ビジネス界における女性の地位が向上しつつある昨今になって進んだジェンダー・ギャップ、この両方について警鐘を鳴らしているのかもしれない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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