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セールスフォースは、2013年にマーケティングソフトウェアを手掛ける「ExactTarget」を25億ドルで買収した。それから5年が経ち、ExactTargetの元経営幹部らが、新たなマーケティングサービスを立ち上げた。

セールスフォースで「Marketing Cloud」の責任者を務めたScott McCorkleが中心となって設立した「MetaCX」は、設立から1年も経っておらず、プロダクトもクローズドベータテストの段階ながら、1400万ドル(約16億円)をVCのUpfront Venturesから調達した。

「我々は、デジタルファーストなプロダクトを手掛ける企業が、顧客管理で抱えている問題を解決したい」とMcCorkleは話す。顧客のロイヤリティ向上を図る、カスタマーサクセスソフトウェアの市場は、急成長を遂げている。これらのソフトウェアは、顧客による利用頻度の低下を検知したり、顧客の不満を推測することができる。

MetaCXが他のサービスと異なるのは、セールスフォースなどの既存のソフトウェア上に設置する専用ダッシュボードを提供している点だ。ソフトウェアの売り手は、利用時間やアクティブユーザー数などの指標を確認できる。一方、買い手は自社の利用パターンや、ツール導入後の成果を可視化でき、成果が出ていない場合には簡単にフィードバックを伝えることができる。

MetaCXは、McCorkleがこれまでのキャリアで感じていた課題を解決するツールだという。McCorkleは、ExactTarget時代の上司だったScott Dorseyの後を引き継いで、Salesforce Marketing Cloudの責任者を3年勤めた。

昨年、彼はDorseyがインディアナポリスで立ち上げたスタートアップインキュベータ「High Alpha」に参画し、1月にMetaCXを設立した。現在の従業員数は16名で、クローズドベータテストでは数十社が同社のプロダクトを利用している。

McCorkleは、セールスフォースを退職後に長い休暇を取り、その間にMetaCXのビジネスモデルを考案した。彼はこれまで数多くのソフトウェア製品を扱ってきたが、それらがどこまで顧客の課題を解決しているか疑問を持っていたという。

売り手と買い手の双方の問題を可視化

「企業には、プロダクト導入後の成果を把握するためのレイヤーが必要であると確信した」とMcCorkleは話す。

MetaCXはまだ製品を正式リリースしておらず、導入企業も公表していないにも関わらず、多額の資金を調達した。Upfront Venturesでパートナを務めるKobie Fullerは、ExactTargetがまだスタートアップだった頃に出資をしており、McCorkleとは旧知の仲だ。

MetaCXは、2019年初めにプロダクトを正式リリースする予定だ。リリース後は、「Gainsight」や「Pendo」など、カスタマーサクセス市場の大手企業と競合することになる。

MetaCXの顧客となるのは、ツールを販売するベンダーだ。これらのベンダーが、顧客企業に対してわざわざ自社の製品が成果を出していないと伝えるだろうか。

McCorkleによると、ベンダーは顧客との関係がうまくいっていないことを早期に察知する必要があるが、ツールを導入した企業は、不満があってもそれを口にしたがらないことが多いという。しかし、売り手と買い手の双方が問題点を可視化できれば、契約の更新時にお互いが納得する結論を出すことが可能だとMcCorkleは指摘する。

「私自身がこれまで何千という顧客企業を管理する上で、必要に感じていたプラットフォームだ。この業界に戻ってこられたことは楽しい」と彼は述べた。

編集=上田裕資

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